じりりりりりりりり…カチッ。現時刻8時ちょうど。
とうとう2時間も早まってしまった。いったい何時にまで早まるのか…こまったな。

顔を洗おうと洗面所(脱衣所)のドアを…開けないぞ!
今日は日曜だからな、千夏が朝シャンを浴びていないはずがない!
ってわけでドア越しに話しかけてみる。

「千夏~」
「…」
「千夏?」
「…」
「いないのか?」

不思議の思い、ドアを開けた。洗面所にも風呂場にも千夏はいなかった。

(まだ朝早いから、寝てるのかな…)

千夏の部屋のドアを開けた。

「千夏~…」

部屋はひっそりとしていた。そ~っと部屋に入り、辺りを見てみる。

(女のコらしい部屋だな…勉強道具も揃っている)

まだ千夏が寝ているか確認するため、ベッドを覗き込んでみた。
千夏が幸せそうなそうな顔でグッスリ寝ている。

(か…かわいい…なんてかわいい寝顔なんだろ…)

って、いつからこんなに千夏をかわいいと思うようになったんだ?
千夏の家に来たときはただの幼なじみだと思ってたのに…ぬぅ。

「う…ん」

やべ、千夏が起きちまう。早々に部屋から出よう。

「うにゅ…おはよ…」
「おぅ、おはよ」
「今日は早いんだね…」
「おかげさまでな」
「ふぇ?」
「そんなことより、腹へってないか?」
「ぺこぺこぉ~…」
「よし、じゃあメシ作るからその間に朝シャンでもしてなさい」
「はぁ~い…」

ちゃっちゃと目玉焼きを焼いて食卓に並べ、千夏が朝シャンからあがるのを待つ。

「ふぅ~、さっぱりした」
「ほら、目玉焼きだ。早く食べないと冷めちまうぞ」
「いただきまぁ~す」

あっさり目玉焼きをたいらげて、お台場に行く準備をする。

「千夏、早くしろよ」
「ちょっと待って~」

やっと準備が終わり出発。数分で駅につき、ゆりかもめに乗る。
当然中は大混雑、狭い。座れるわけもなく、もちろん立ち乗りでぎゅうぎゅう詰め。



しばらくして目的の駅に到着し、オレ達と一緒にほとんどの人が降りていく。

「…着いたな」
「どこ行く?」
「いわゆる1つのショッピングとか、しないのか?」
「う~ん…しないわけじゃないんだけど、あんまりしないかな」
「んじゃどうしろと」
「観覧車乗ろ!」
「まだ早いです」
「はぁ~い…」
「とりあえず、アクアシティでも行ってみるか?」
「うん、そだね」

フジテレビの目の前にそびえたつ大型複合店『アクアシティ』に侵入、適当にウロウロする。

「…千夏」
「ほぇ?」
「…腕を組むな」
「いいじゃない♪」
「…はぁ」

悪くはないが…恥ずかしい。やっぱり恋人同士にしか見えない。どうしよう…。

「ね、キート」
「ん?」
「あそこ行こうよ」
「あそこって…トイザらスじゃないか」
「行こ♪」
「んなガキじゃあるまいし…」
「大人だって入るもん!」
「や、あれは親子であって…」
「細かいことは気にしないの!さ、入ろ!」
「わかったわかった…」

「わぁ~、これかわいいなぁ」
「そうか?」
「うん」
「…まぁいいか。オレは別のとこに用があるから、しばらくここで見てなさい」
「ふぇ~…」

オレは別の売り場へ行き、ある物を買って千夏の元へ向かった。

「ふぇ~…」
「千夏」
「ふぇ~…」
「千夏」
「ふぇ~…」
「千夏!」
「ひゃあ!ビックリした…驚かさないでよぉ…」
「オマエが反応しないからだろ」
「あれ?そだった?」
「…観覧車、乗るか?」
「うん!」