| ザ・コンビニ 13 ピンポーン。 ナイスミドルな夫婦がやってきた。 旦那さんの方はフサフサでビシッと決まった白髪混じりの髪に、カジュアルなスーツ。 奥さんの方は重役ばかりが集まった本気パーティの帰りのような、ピンクドレスに高そうなコート。 入るお店をお間違えではないでしょうか?なんて聴きたくなってしまうほど、猛烈に場違いです。 腕組んでるし。 おしどり夫婦ねぇ。 うらやましいとは思わないけど、幸せそうな姿にはちょっと憧れる。 私、最近幸せだと思ったのいつだっけ。 給料日は何回味わっても至高の喜びだけれど、幸せとは違う。 しかも給料日を迎えるたび、次の給料日までの長さを考えて憂いまくってしまう始末。 幸せか…。 小さくても地味に幸せだと思えるのは、バイト明けのひとっ風呂だろうか。 入浴剤なんて買えないし、水を詰めたペットボトルで嵩増ししたお風呂だけれど、私には十分に幸せ。 …う〜ん、そういう幸せでもないか。 今一番味わいたい幸せは、宝くじが当たること。 それ以外、私には何もいらない! だから、誰か私に宝くじを買うお金を恵んでください! はぁ…。 外れたら一生後悔するだろうし、やめよ。 というか老夫婦、こんな時間にあんな格好でコンビニなんて、どうしたんだろう? パーティ帰りにしてはお開きが遅すぎるんじゃないだろうか。 明日も平日だし、幹部ばかりが集まったパーティだとしたらみんな明日があるだろうに。 そうでないにしたって、不可解な点が多いことに変わりはなくて。 それがコンビニのバイトのおもしろいトコロでもあり、ヒューマンウォッチャー的にもおいしいのだ。 アルコールコーナーで焼酎と缶チューハイをいくつか選んでカゴに入れた老夫婦は、それをカウンターに置いた。 その間もぴったりと離れることなく腕を組んだままの二人は、本当に仲が良いんだろうなぁ。 精算が終わり、夫が袋を持ち、夫婦がお店を去る刹那の会話が聞こえてきた。 「達彦さん、次はいつ会える?」 「そうだな…。家内の出張も、そうそうあるわけじゃ―」 二人は、お店を出て行った。 …そりゃ、仲良しに決まってる。 Back | ザ・コンビニ 14 |