| ザ・コンビニ 14 ピンポーン。 小学生の男の子二人と、女の子が一人ご来店。 みんな高学年、だいたい四年生くらいかな? あどけなさ残りまくりの、かわいらしい小学生たち。 こんな時間に子供たちだけで来るなんて、この子達の親は何をしているんだろうか。 仕事で忙しいからコンビニでなんか好きな物買っておいで、っていう時間でもないし。 放任主義っていうヤツかな。 人には人の育て方ってものがあるし、子育てなんてしたことないから偉そうなことは言えないけれど、やっぱり夜は寝るべきだ。 女の子が率先して歩き、男の子二人がおずおずとそれに付いていく光景はだいぶ違和感を感じた。 女王様ごっこの類? ませてるねぇ…。 女の子はまっすぐアルコールコーナーに向かい、適当なビールを二本手に取りそれぞれ男の子に渡した。 「ほら、買ってきて!」 その言葉に、何も言えずおどおどしている男の子たち。 「どうしたの? お酒も買えないの?」 「だ、だってよぉ…」 「ボクたちまだ未成年だし…」 「そんなのカンケーないでしょ! 男だったらさっさと買ってきなさいよ!」 怖っ。 最近の女の子ってこんなに怖いのか。 私が男の子のどちらかだったら、もしかすると泣いているかもしれない。 「そうだ、自動販売機だったらバレないじゃん!」 「バカねぇ、最近の自販機って夜は買えないのよ?」 せっかく名案だと思ったのに、と顔に書いたまましょんぼり俯いてしまった少年A。 「やっぱり、こんなのよくないよ。お父さんにバレたら…」 「だったら帰りなさいよ!」 グサッと来て、あぁ、少し泣き出してしまった少年B。 なになにこの修羅場、お願いだからケンカはやめて…? 「アタシだって、好きでこんなことやってるんじゃないの! わかる? アンタたちがあんまりうじうじやってるから、度胸のある方と付き合ってあげるって提案して、わざわざここまでしてあげてるってのに、何さ! もういいわよっ、どっちとも付き合ってやんないッ!」 女の子はプンプン怒って、何も買わずに男の子たちを置いて帰ってしまった。 取り残されてしまった二人は、ライバル同士だけれどどちらも気は強くないみたいで、持たされたビールを見つめてからお互いを見つめ、若干困り果てた間を置いてから、二人してカウンターにビールを置いた。 えーっと…。 これは、どうしたものか…。 「あの、ボクた―」 「「買いますっ!」」 これはもう、成人になるのを待てだとか説得している状況ではないよね…。 「ダメですっ」 「…やっぱし」 「どうしよう、ケンタぁ…」 っていうか、最近の小学生ってこんなにホの字に敏感というか情熱的なんだろうか。 私が小学生の頃は、盆踊り大会で一緒になった男子と一方的に噂にされるくらいがせいぜいの山場だったのに。 付き合うって何? デートでもするの? 小学生がそんなお金あるの? う、うらやましい…。 「ねぇふたりとも」 「え?」「はい?」 「あの子のこと、好きなの?」 「え、いや、それは…」 「―す、好きですっ!」 茶を濁した少年Aと違い、少年Bはハッキリと自分の思いを口にした。 「お、お前、」 「ケンタだって好きでしょ? 隠すことないよ、恥ずかしいことじゃないんだから」 「な、なんかお前、キャラ違うぞ…」 大人しい性格ほどいざって時にすごい、というのはまさにこの子のことなんだと思う。 なるほど、恋は人を変えるか。 よし、ここは大人の女からの平凡なアドバイスをしてあげよう。 「あの子のことが本当に好きなら、その思いをまっすぐ伝えるべきだと思う。お店でビールを買うことなんかよりも、ずっと度胸がいることだよ?」 「ち、違うんだよ、あいつそういうの嫌いですぐ逃げちゃって、」 「それはきっと、照れちゃってるんだよ。追いかけて、一方的に告白しちゃえばいいのっ」 「いや、あいつの逃げっぷりハンパなくて、」 「それぐらい捕まえられなきゃ、いつでも経っても本当の男にはなれないよ? いいの?」 「うっ…」 あと一歩を踏み出せない子には、これくらいのことを言わないとダメ。 ここは心を鬼にして、彼らのことを思うからこそ、ズバッと言ってあげなくちゃいけない。 「ほら、追いかけてあげなきゃ」 「あっ、うん!」 「ありがとう、おばさん!」 お、おば…! うぇ〜ん…。 Back | ザ・コンビニ 15 |