ピンポーン。
 パジャマにジャケットを羽織ったサラリーマン風の男性が、小学校低学年くらいの女の子を連れてやってきた。
 普通に考えて、親子だと思う。
 親子じゃなかったら、今すぐに警察に連絡します。
 お店に入るなり女の子はアイスクリームコーナーに走り、キラキラした目で物色し始めた。
 やれやれといった表情でついていくサラリーマンを見るに、どうやら女の子のわがままに付き合わされているらしい。
 私が女の子くらいの年頃は、夜は寝なければいけない、問答無用で寝なければいけない、そう思っていたのだけれど。
 今となっては深夜にバイトなんかしちゃってるし、こんな親子もいるわけだし、時代は変わるんだなぁと実感。
 「パパ、あれがいい!」
 「…200円!? たっか…。なぁ、他のにしてくれないか」
 「え~?」
 「パパのお財布な、今ちょっと風邪ひいてて、なかなかお金が出てこないんだよ」
 「パチンコ屋さんで風邪ひいたの?」
 「えぇっ!? ちょっ、なんでその話、」
 「ママが言ってたよ」
 「…くぅ~…」
 やがて女の子が嬉々とした表情でカウンターにアイスを置いた。
 バーコードを読み取って、レジに表示されたアイスクリームの価格は、200円。
 お父さん、ガンバッ。