ピンポーン。
 白と緑のボーダー柄でヨレヨレなポロシャツ、くたびれたジーンズ、長めで整髪が行き届いていない髪、剃り残しだらけのヒゲ。
 顔立ちからして歳はいっていないと思うけれど、おっさんくさい、と言われても言い返せなさそうな風貌の男性が訪れた。
 ニート? プー太郎?
 でも、疲れていそうなところを見ると、ちゃんと働いているみたいだけれど。
 入店するなり雑誌コーナーに向かい、デジタル商品を紹介する雑誌を立ち読み始めた。
 う~ん…。
 彼女いない歴=年齢、だな…。
 しばらく立ち読みしていた男性は、時折私の視線を気にしてこちらを見ていた。
 確かに見ている私も悪いけど、別に立ち読みを注意できる立場にないし、気になるなら立ち読みしなければいいのに…。
 居心地悪くなったのか、男性は店内をウロウロ、電化製品コーナーやアイスクリームコーナーを巡り、最後に天ぷら弁当とペットボトルの緑茶を持ってカウンターに置いた。
 「お弁当あたためますか?」
 「あ、…いいです」
 袋に冷たいままのお弁当とペットボトルを入れ、精算を終えた男性は退店していった。
 さて、そろそろ掃除でも―
 ピンポーン。
 白と緑のボーダー柄で…あれ?
 「あの」
 「はい?」
 「―やっぱり、あっためてもらえますか」
 照れくさそうに袋を差し出して、男性は言った。
 一瞬、ポカーンとしてしまったけれど。
 少し笑ってしまったけれど。
 断る理由もないので、快諾した。
 おもしろい人だなぁ。