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永遠の春 公園 作者:レート
今日は日曜日。これまた思わず笑ってしまいそうになるほど天気が良い、何故だろう。 日曜とてもちろん春のウェイクアップアタックはある…朝のまったりとした時間が味わえないや。 「こ〜ちゃん、あさだよ〜」 「…」 「こ〜ちゃ〜ん、おきてよぉ〜」 「…」 「むぅ〜…」 眠っているボクの足の裏をコチョコチョアタックする春。 「ひゃへ…?」 「おきた〜?」 「…もう朝か…」 「こ〜ちゃん、どこかつれてってよ〜」 「はい?」 「やくそくしたでしょ〜?」 「あぁ、そっかそっか」 別になにかあったからじゃないけど、春がどこかに行きたいみたいだから今度の日曜に、と約束していたのだ。 「どこに行きたいの?」 「ど〜ぶつえん」 「この前行ったじゃないか」 「ぽかぽかしてるところぉ〜」 「…ひなたぼっこしたいの?」 「うん」 「ん〜…まいっか、それでも」 とりあえず目的地は決定、ぽかぽかしてる所。…ってどこだよ!と言いたくなる。どこかあるだろうか。 とにかく朝ゴハンを食べに1階へ降りる。その間も行き先を考えて考えて考えて。 「おはよう、二人とも。朝ゴハンできてるわよ」 「わぁ〜い、ゴハンゴハン」 父さんは昨日からまた単身赴任で大阪へと旅立っていった。今度戻ってくる時はこっちに落ちつけるらしい。 そんな事よりも今は行き先を考えなければいけない。とはいえアテがあるわけじゃないし…困ったなぁ…。 春の意見も聞かないとパッと思いつかないや、聞いてみよう。と言っても食事中で聞いてくれるかわかんないけど。 「春」 「(もぐもぐ)」 「春、聞こえる?」 「(ぱくぱく)」 「しゅ〜ん」 「(はむはむ)」 「春っ!」 「はぇ?こ〜ちゃん、なぁに?」 「どこに行きたいか、一緒に考えてよ」 「わかんないよぉ〜…」 「じゃ、どんなトコがいいかとか」 「ぽかぽかしてるところぉ〜」 「そうじゃなくて…なんか、こう、もっと細かく…」 「こまかく〜?」 「そう、細かく」 「みどりがたくさんあって〜、ひろびろしてて〜、ぽかぽかしてるところぉ〜」 「緑がたくさんで…広々して………中央公園辺りがちょうどいいかな?」 「ちゅ〜お〜こうえん?」 「結構大きめの市立公園で、春のお望みにピッタリだと思うよ。近場だし」 「そこがいい〜」 「うん、わかった」 今度こそ目的地が決定、中央公園。ここ最近はあまり行かなくなったけど、自分でも気に入ってる場所。 草木あり緑あり、日当たりも良くて環境は最良。流れてる河の水も綺麗だし至れり尽せりな公園だ。 …朝食も食べ終わり、いざ中央公園へと出発。もちろん徒歩で。 「てんきいいね〜」 「だね」 「おひさまてかてか〜」 「今日は一日中晴れみたいだよ」 「よかったぁ〜」 …さくっと到着、中央公園。今日は人が少ないみたいだ。いつもなら黒山でいっぱいなんだけど…はウソ。 噴水を取り囲むようにして植えられた芝生に向かった。今日みたいに天気の良い日に寝転がると気持ちがいい。 となれば無類のひなたぼっこ狂の春が寝転がらないわけもなく、着いてすぐにドサ〜っと寝転がった。 「こ〜ちゃん、きもちいいよ〜」 「ボクも好きなんだ、ここで横になるの」 「あたしとおんなじだね〜」 「ん…そうだね」 小さい頃だったら友達とここに来て公園の遊具で良く遊んでたな。今じゃそんなの恥ずかしくてできないけど。 それに今日はそのために来たんじゃない。春がひなたぼっこをしたいから、だから中央公園にやって来た。 なにをするわけでもない、なんの得があるわけでもない。春がひなたぼっこをしたいから…ただそれだけの理由で。 春が行きたい所。春のしたい事。春の食べたい物。春の望む事全てを聞き入れたくなってしまう。 そんな不思議な魅力みたいなものが春にはある。普通の女のコにはない、独特のなにかが春にはある。 「春、聞いていい?」 「…」 「春?」 「はぅゅ…」 「寝ちゃったか…」 改めて見る春の寝顔。日差しを身体中に浴びて気持ち良さそうで、とても無邪気な寝顔。 その春の寝顔、ちょっとだけ…ちょっとだけだけど…かわいいと思った。ちょっとじゃ…ないかも…。 …なにもせずただひなたぼっこをしていると、向こうからこちらを見て小走りでやってくる女性が来た。 歳は20代後半に見える。こっちに来るなり春の顔をマジマジと見つめ、力いっぱい抱きしめた。な…なに? 「逢いたかった!生きていたのね…良かった…」 「はぇ…?オバさん、だぁれ?」 女性は聞く耳も持たず、泣きながら春を抱きしめている。春が助けを求める目でこちらを見ている。 あぁ…そりゃなんとかしないとねぇ…。 「あの〜、もしもし」 「…え?」 「このコになにか用ですか?」 「………あ…ご、ごめんなさい!私ったらなんて事を…」 「いきなり赤の他人を抱きしめるはずがないですから、ワケを教えてくださいませんか?」 「…はい」 女性の気も落ちついたようなので、成り行きで事情を聞く事になった。 「似ているんです、ウチの子に」 「さっき『生きていたのね』って言ってましたけど…」 「行方不明なんです。学校の旅行で行った山で遭難して…それ以来…」 「そうだったんですか…」 「ホントにごめんなさい。あまりにもそっくりだったので我を忘れてしまって」 「もういいですよ。その気持ち、わからなくもありませんから。春も気にしてませんし」 「え……?このコ、春ってお名前なんですか?」 「そうですけど?」 「偶然…ですよね…。そうですよね、偶然ですよね」 「なにがですか?」 「いえ、なんでもないんです。…あっ!大変、もうこんな時間!?会社に行かなくちゃ!」 「あ、ちょっ…」 腕時計を見た女性は慌てて去っていってしまった。名前も聞いてないし、な〜んか気になるなぁ。 「こ〜ちゃん、なにかおちてるよ〜」 「ん?どこ?」 「あれ〜」 春の指し示す先に落ちていた物。長方形で白くてなにか書かれている…名刺だ。 さっきの女性が落としたのかな?拾ってよく見てみた。さすがは落とし立て、新品同様。 「神田製薬株式会社営業部 『穂村 葉摘(ほむら はつみ)』 …あれ?穂村?」 「あたしとおんなじなまえだ〜」 「春、あの人に見覚えはないの?」 「ないよぉ〜」 「う〜ん…な〜んか気になるなぁ…」 頭を抱え込んで思考錯誤していると、春が甘えた声でボクの名を呼んだ。 「こ〜ちゃん…」 「ん?」 「アイスたべたい…」 「今?」 「うん」 「じゃ、コンビニ行こっか」 「ふあ〜い」 公園の近くにあるコンビニへ向かった。店内へ入り、アイス売り場で春の食べたいアイスを探させる。 相変わらず春への疑問は絶えない。なぜアイスという存在を知ってるかとか、そりゃもう無限大だ。 「これたべた〜い」 「あぁ、プッシュポンね。これおいしいんだよ」 アイスを買って家に帰ろうと外に出ると、ちょうど来たばかりのどこぞの史哉と出会った。もちろん会いたくなかった。 「よぉ進藤、春ちゃんと仲良くデートか?」 「違うってば。春が来たいって言ったから連れてきてあげたんだよ」 「それがデートって言わないか?」 「だから違うってば!」 「春ちゃんに直接聞けばわかるもんね〜」 やはりボクそっちのけで春に悪意に満ちた質問を放つどこぞの史哉。マキシマム邪魔者。あ〜言い足りない。 「春ちゃん、今日はこいつとデートかい?」 「で〜と…?」 「男と女が愛を深めるためにデートスポットに赴く事だ」 「え〜っと、わかんない」 「ありゃりゃ…まいいか。春ちゃん、こいつになにかされたら真っ先に俺に連絡するんだぞ?」 「ふあ〜い」 要らぬ事を春に伝えて史哉はコンビニへと入っていった。なんだったんだ、まったく。 …家に帰って食卓を見ると、なにやら置き手紙と桜餅があった。なになに? 『母さんはちょっと出かけてきます。少し帰りが遅くなるので、お餅でも食べてお腹のタシにしてください』 桜餅でお腹のタシに…?母さんも大それた考えを…。 「ど〜したの〜?」 「母さん出かけてて帰りが遅くなるから、桜餅でも食べて待っててってさ」 「さくらもち〜?」 「これだよ」 「わぁ〜、おいしそ〜」 「先に食べてていいよ。ボクちょっとトイレ行ってくるから」 「ふあ〜い」 トイレに行って用を済まし、食卓へと戻る。この間わずか2分。にも関わらず…。 「あれ?桜餅は?」 「え〜っと…」 「もしかして、食べちゃった?」 「うん…。ごめんなさい…」 「いや、別に食べちゃった事はいいんだけど…結構量あったよね?」 「とってもおいしかったよ〜」 「そっか…良かったね…」 その言葉に心はこもっていない、少し驚いてる。あんなにあった桜餅が2分で春の胃袋へさようなら。 恐らく春の前世がプロの桜餅早食い選手だったのか、単なる桜餅好きなのか。にしても速い。 [ 永遠の春 遊園 ] [ 戻る ] |
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