前略。
突然ですが、この小説は十一節で終わりです。
オチもないし、エンディングもないし、誰かが泣いたり救われたりもしません。
批判も罵倒もいくらでも受けます。しかし、この小説はこれにて完結です。
全てが思い付きで始まった季節小説の、初期の四作品がどうにか完結した頃です。
続編を書いて欲しいという皆様からの要望を頂き、ボクは嬉しく思いました。
当時のボクは「もちろん書くに決まってるじゃないか」と、当然のように次回作執筆に取り組みました。
しかし、今や二作品が実質企画倒れに終わり、片や辛うじて、片やこんな形で終幕を迎えました。
そもそもが思い付きで始まった物書きであるが故に、ネタが尽きていたのです。
夏こそ奇跡的に完結を迎えられましたが、設定は捻じ曲がり、決して理想の完結ではありませんでした。
冬については「進展がない」と何度もご指摘を受けました。
…ごめんなさい、意図的にそうしていたのです。
どうにか、なんとか、新たな人物の登場などで食い繋ごうとしましたが、やはり進展は無に等しかったです。
椿が栃木から帰ってきた、その時点(前作)ですでに完結していた物語を、
ボク如きの筆力で継続させ、進展させていくことはできないと、執筆半ばで思わされたからです。
「未登場人物の出現」「書き残したイベントを書く」「文章量を増やしてみる」。
たったこれだけのキーワードで十一節まで持ってこれただけでも、十分に自己満足です。
無茶な波乱やドンデン返しを起こしたところで、この小説の空気には合わないとも思いました。
あるいは、何事もなくただ無事に、二人の仲が深まっていくことを願っていただけなのかもしれません。
伏線を探って今後の大恐慌を期待していた方、ごめんなさい。
ハラハラドキドキな予想を覆すサプライズストーリーを期待していた方、ごめんなさい。
この小説がまだまだ続くと思っていた方、本当にごめんなさい。
こんな感じで、二人の仲良しな生活が続いていきます―それを伝えたかったのです。
これが、ボクが考えた中で一番理想的な完結です。
拙作を最後までお読みいただき、まことにありがとうございました。
今後執筆予定の「ON AIR !」にご期待下さい。
それではまた、雪舞う季節に―。
2006年2月12日 筆者 レート