ピンポーン。
杖を突いた、禿頭で腰曲がりのおじいちゃんがやってきた。
あまりにもヨレヨレして頼りない歩き方は見ている方をとても心配させるけれど、しっかりと自分の足でここまで来れているのだから無慮無闇に手助けを施してしまうのはあまりよろしくない。
おじいちゃんは入り口からゆっくりと、まっすぐレジに歩いてきた。
「あ゛~…」
「はい、なんでしょう?」
それから、洗濯物の干し出しができそうなくらいの間を空けて、
「田口さんや」
「…いえ、違います」
すっごい間を空けて、
「これは、失礼」
ゆっくりゆっくりと、おじいちゃんはお店を出て行った。
間違え…来店?