前略。
正式な”いいわけ”としては、『冬の空と雪椿』以来、およそ五年半ぶりとなります。
自分自身へのケジメとして、本作『ガールシッター』は第一話の読み切りとして完結となります。
『冬~』の時も一種のケジメでしたが、アレは単純に、物語としての未来が見えてこなくなったがための終幕でした。
書くことがなかったのです。
どんなに読者を惹き付ける波乱を起こそうとしても、筆者の深層心理が“そのままであること”を望んでいては、そこから進む展開など練れはしないのです。
でも、書きたかったことは全部書いたし、出し尽くした感はあったので、アレはアレでそれなりに満足のいったものでした。
本作の”いいわけ”は、全く異なる方向性を持っての宣言です。
「書けない」。
脚本が進まない、展開が練られない、のではありません。
構想があまりにも肥大化しすぎて、完結は物理的に不可能だと感じたのです。
第一話の時点で100KBを超えるヘビータイトルになってしまい、こりゃあ第二話以降が思いやられるな、とか、そんなレベルではありませんでした。
実は、構想段階では三部作になる予定でした。
たった一話を書き上げるのにも多大な時間を費やすのに、一部平均七話と考えても三部全21話。
無理です。
自分の力量も考えずに、裾野を広げすぎました。反省します。
本宣言を決定付けたのは、新作『酔いどれ電光石火』の執筆でした。
読み切り作品でもここまで満足のいく物が書けるのだな、と得心した後に振り返ってみると、いつになっても進展しない作品を惰性で公開し続けるのは如何なものか、と疑心を持ったのです。
自分の書き方、書く速さ、書きたいもの、色々を見つめ直し、これからの執筆生活を考えた上での決断でした。
理想を追い求めず、得手不得手、自身の執筆スタイルと向き合って、無理のない執筆というものを考えていきたいと思います。
本作は、一話のみのプロット作品と受け止めていただければ光栄です。
期待してくださった読者様、申し訳ございません。
今後は『ON AIR!』に注力いたしますので、ご期待ください。
#前回も同じことを言っていたような気がしますが…。
2011年10月16日 レート